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高血圧のしくみ

2014年11月29日

塩分の摂り過ぎが高血圧をきたすことはよく知られていますが、その過程については多くの不明な点がありました。また、塩分に対する血圧の反応は個人によって大きく異なり、敏感に反応して血圧が上がりやすい塩分感受性の人と、そうでない人がいることが分かっていますが、その違いが何によって生じるかは解明されていませんでした。 当院 腎臓・内分泌内科の藤田敏郎教授と柴田茂特任助教らの研究チームは、塩分の摂りすぎによる血圧の上昇に、Rac1とよばれるタンパク質のはたらきが関与していることを突き止めました。これは、塩分感受性に個人差が生じるしくみの解明にもつながる画期的な知見です。 今回の研究成果は、塩分の摂り過ぎが高血圧を引き起こす過程を解明したものであり、今後、新たな視点による高血圧治療薬の開発が期待されます。 東京大学付属医学部病院 Copyright(c)2010 The University of Tokyo Hospital. All Rights Reserved.

 高血圧と診断される基準

血圧とは、心臓の収縮と拡張によって全身に送り出される血液の流れが、動脈の壁にかける圧力のことです。心臓が収縮して血液を血管に送り出したとき血圧は最大になり、このときの血圧を収縮期血圧(最大血圧=上の血圧)といいます。心臓が血液を出しきって拡張するときに血圧は最小となり、このときの血圧を拡張期血圧(最小血圧=下の血圧)といいます。高血圧とは文字どおり、これらの血圧値が基準値より高い状態のことです。具体的には収縮期血圧と拡張期血圧の血圧値を測定して

縮小期血圧が140mmHg以上あるか または拡張期血圧が90mmHg以上ある状態のとき

高血圧と診断されます。

 では高血圧はどのようにして起こるのでしょう

わたしたちの体は体温・血圧・脈拍・体内の水分量・血液の成分などを常に一定に保とうと調整するホメオスタシー(恒常性)の仕組みで守られています。体内の摂り過ぎた塩分を薄めるために多量の水分をため込み血液量をふやして尿として排泄しようとしたり

ストレスや不安が続くと交感神経が活発になり分泌されるホルモンが血管を収縮させ血管内を狭くしたりするので

血圧は必然的に高くなります。絶えず、体内を調整しようとする自律神経や分泌されるホルモン、血液量や血管の狭さ、体脂肪の多さ、血管を硬くする動脈硬化の度合い、姿勢などによって血液をすみずみまで細やかに運ぼうと変動して高血圧が起こります。

 高血圧のタイプ

高血圧は大きく3つのタイプに分けられます。 ①高血圧

診察室血圧と家庭血圧の両方が高血圧にあてはまる状態。

②白衣高血圧 一般的に高血圧の人に限らず血圧値に問題がない人でも、診察室血圧は家庭血圧よりも高い数値が出ることがわかっています。家庭ではリラックスして測定できるのに

診察室で白衣の医師と対面すると緊張から血圧が上がってしまう

のです。これを白衣高血圧といいます。通常、すぐに治療する必要はないとされています。 ③仮面高血圧 白衣高血圧とは逆に、昼間にはかる診察室血圧は低いのに

朝や夜に自分ではかる家庭血圧が高い場合

を仮面高血圧といいます。病院ではかる時間帯には正常値の基準を満たしているのにその他のほとんどの時間帯には高血圧なっているのです。この場合は治療が必要です。

 血圧を調整するメカニズム

もし血圧が体にないとすれば、細胞の成分や栄養を含む血液を細胞のすみずみまで運べなくなり生きてはいけなくなります。また、立っているときも横になっているときも太っていても痩せていても、血圧が常に一定で固定していたらとてもからだの隅々にまで血液を送ることはできないのです。そのため、人の体は体内の水分量や成分、脈拍、体温など生きていくための体内環境を自分の意思とは関わらずに調整しています。血圧もそのひとつなのです。自律神経と呼ばれる神経系が血圧の調整にも関わり

血圧は24時間変動しています。

自律神経には交感神経と副交感神経があります。昼間はエネルギー活動を推進する交感神経が活発に働きアドレナリンを放出して活動モードになります。血流を早め心拍数多くし血管が緊張し血圧を上げます。夜間は副交感神経が活発に働きアセチルコリンを放出してリラックスモードに入ります。腎臓も血圧の変化に直接的に反応し血圧が上昇すると腎臓が塩分と水分の量をふやし血液量を減らし血圧が低下するとその排出量を減らし血圧が低下するとその排出量をふやして血圧を正常に戻すように働きます。

この2つの神経は互いにシーソーのようなバランスで働いていますからスイッチの切り替えがうまくいかなくなると高血圧や極端な低血圧になります。

動脈が硬くなってる人は血圧の状態をつかむセンサーが衰えて切り替えるための情報を伝えられなくなるのです。血圧調整のメカニズムがうまくいかなくなり血圧の高い状態が慢性的続くと高血圧になってしまします。

 血圧を上げる要因。血流量と末梢血管抵抗

血圧を上げるのに大きな影響力を持っているのは心臓から送り出される血液の量と末梢動脈内の狭さ(末梢血管抵抗)です。

たとえるなら、車の通行量の多さと道路の狭さ

が血圧を上げてしまいます。血液量を多くする原因の一つは、昔から言われている塩分のとり過ぎにあります。塩分のとり過ぎは、体内のナトリウム濃度を高めますが体は濃くなった濃度を一定にするために水をためこもうとします。水の量が多くなると心臓は余分な水分を何とかして早く腎臓へ送り出そうとし尿を排泄しようとします。 そのため血管内の血液量がふえて、まるで自動車の通行量がいっぱいの高速道路のようになっています。またナトリウムには血管の壁をむくませ、血管を狭くする作用があり自律神経を刺激し、血管の収縮を促してしまいます。

道路でいうと三車線あった血管も一車線に狭くなり

血圧が上がるというわけです。 同じように血圧を上げる成分はレニン・アンジオテンシンです。これは人類の先祖が海中に暮らしていたときには海水の豊富なナトリウムがあったので必要のないものでした。しかし、陸上生活をするようになり体内にナトリウムをためるためにつくられた仕組みの成分です。 レニンは、まず腎臓で分泌され、肝臓から分泌される別の物質と結びつきアンジオテンシンTになります。この物質は血液の中で別の酵素の働きを受けてアンジオテンシンUに変わります。アンジオテンシンUは、アンドステロンという別のホルモンを分泌させてナトリウムを体内にとり込もうとするのです。アンジオテンシンUには、血管を強く収縮する働きがあるので血圧を高くしてしまいます。アンドステロンはたくさんつくられると血管内のナトリウムの量がふえて塩を多くとるのと同じようになってしまいます。

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